2019/01/28

スウィート・ドリームス・プレスからのお知らせ


 SNSにも投稿していたのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、先の1月1日に私の妻が息を引き取りました。東京のお正月らしい透き通るような晴天で、窓から外を見下ろすと初売りを待つ人たちが列をなしている、そんな穏やかな元日の午前中でした。彼女はスウィート・ドリームス・プレスから出してきたCDや書籍、フライヤーなど、そのほとんどを装幀したグラフィック・デザイナーでした。このレーベルが出してきたものに特別な肉体を与えてくれたのは、ほかならぬ彼女のおかげです。最近はインディペンデント・レーベルのことをブティック・レーベルと呼ぶそうですが、そのような趣味の良い路地を通り過ぎ、ひとつひとつの作品を大きな広場で手にとってもらえるものにしてくれたのは、30年間、プロのデザイナーを生業にしてきた彼女の矜持と手腕があってこそだったと思います。音楽は好きでしたが、とりたててマニアックなリスナーというわけではなかったので、だからこそそれぞれの作品はいかにも「それ風」のものにはなりませんでした。そのため「あまりインディ・レーベルっぽくない」と言われることもありましたが、それは僕らにとっては褒め言葉でした。

 昨年の3月に小脳の脳幹部分に腫瘍が見つかり、4月に摘出手術を受けると、膠芽種という悪性脳腫瘍だということがわかりました。平均生存期間は約1年、そういった情報はネットで検索すればいくつも得られましたが、彼女がどこまで調べていたかはわかりません。腫瘍それ自体よりも、むしろ妻を悩ませたのは手術前後から発現した身体の失調でした。右耳が聞こえなくなり、ついで右目と口角の右側を閉じることができなくなり、さらには身体の右側が震えて自由が効かず車椅子の生活に、また、食べたり飲んだりすることが大好きな彼女だっただけに口から飲み込めなくなって経管栄養になったことは、闘病する気持ちを削ぐ大きな一因だったことは想像に難くありません。それでも、毎日の生活の中でホッとさせてくれたり笑わせてくれたのは、最後まで気丈にふるまっていた彼女の方でした。

 なにか面白い話をしてと頼まれてもはぐらかし、髪をゴムでうまく束ねることもできず、不明瞭になった妻の言葉を解せないことも度々ありました。亡くなって4週間が過ぎた今でも、私は自分の頼りなさや面白みのなさ、勘の悪さ、狭量さ、冷たさを呪いながら、涙を流すこともできずに過ごしています。自営業なのを幸いに、ほぼ毎日、最期まで彼女と一緒に過ごせましたが、果たして本当に寄り添えたのだろうか。私が買い物や食事で外出している間、ベッドの上でひとり、彼女がなにを考えながら不自由な目で天井を見つめていたのか、今、私の胸を去来するのはそのことばかりです。

 それでも、10か月の闘病の間、大きな励ましやなぐさめとなったのは友人、知人たちのおかげでした。病院や自宅までお見舞いに訪れてくれた人たちや、通院の際にこころよく車で送迎してくれた仲間たち、そして9月に町田の簗田寺で開催した「eleven 〜スウィート・ドリームスの11〜」というイベントも、もともとは妻の治療費のためと有志の方にご提案いただいたものでした。妻が自分の病気を公表することを固辞したため、11という半端な数の周年イベントとなりましたが、出演者、スタッフの方々はじめお越しいただいた皆さん、本当にありがとうございました。ほかにもイ・ランが韓国ソウルでのコンサートの収益を寄付してくれ、タラ・ジェイン・オニールは仲間の音楽家に呼びかけて『Sweet』というコンピレーション・アルバムを、また、ブックギャラリーポポタムの大林さんには親しい美術作家とステッカー・セットをつくっていただき、みんなには本当にお世話になりました。皆さんがいなければ、彼女の最後の10か月はもっと苦しみに満ちた孤独なものになっていたと思います。そして、通夜/告別式に参列していただき、お供えをいただいた多くの人たちにも、この場を借りて心より御礼申し上げます。

 彼女がフリーランスになったときにつくった自慢のデスクはふたりが並んで座れる堂々としたものですが、今では椅子もなく、引っ越したままの状態で卓上も雑然としています。彼女の入院中、西調布に引っ越すまでこのデスクに並んでふたりで作業をしていたことを考えると、この10か月が不思議に思えますが、またこの机で仕事ができるようになるかどうか、今はまだわかりません。ひとりでできるのか、それとも誰かに協力を仰ぐのか、いずれにしても心細い再出発になりそうですが、11周年イベントに続き、年越しは無理かもしれないという医者の言葉に反して1月1日、それも午前11時15分に息を引き取ったことを考えると、彼女は意地になって私になにかを伝えてくれたような気もします。1からはじめること。そして、まずは恩返しから。彼女が最後まで心を砕いていたのはお見舞いへの返礼でした。

 最後になりましたが、東京女子医科大学病院の皆さま、調布東山病院と東山訪問看護ステーションの皆さまには、本当にお世話になりました。心から感謝しています。

 そしてカイちゃん、出会ってからの18年間どうもありがとう。そしてごめんなさい。あなたがいなくなってとても寂しいです。

福田順子(旧姓:甲斐)|駒澤装幀室
命日:平成三十一年一月一日 享年:満五十歳

2018/12/25

イ・ランと柴田聡子 - ランナウェイ


アーティスト:イ・ランと柴田聡子
タイトル:ランナウェイ
カタログ番号:SDCD-041
発売日:2019年2月7日
収録曲数:6曲
パッケージ:ジュエルケース/ブックレット(16ページ)/レンチキュラー・カード
ゲスト:イ・ヘジ
エッセイ:イ・ラン/柴田聡子(日本語/韓国語併記)
デザイン:惣田紗希
録音/ミックス/マスタリング:福岡功訓(Fly-sound)
定価:1,600円+税
初回限定生産品

ご予約はこちらからどうぞ。なお、発送は2019年2月1日からとなります。

2016年11月に敢行した双頭ランナウェイ・ツアーに実った甘い甘い果実、
イ・ランと柴田聡子、韓日を渡って交歓した言葉とメロディの魔法をついにお届けします。

 2016年11月に全国7都市を巡り、文字通り立錐の余地もない満員のオーディエンスの前での爽やかなキッスと共に笑顔で終わったイ・ランと柴田聡子のランナウェイ・ツアー、実はその続編としてツアーの翌月にイ・ランが密かに来日、ふたりでレコーディングを敢行したコラボレーション音源がようやく完成しました。

 ツアー時のハイライトだった共作曲「Run Away」はもちろん、ふたりのハーモニーがらせん状に空高く舞い上がるリリカルな新曲や、ツアーとお互いを名残惜しむような「バカ 漏斗」、さらに道中に食べたあれこれを掛け合ったユーモラスな「おなかいっぱ~いです」まで、涙あり笑いありの旅のお土産としてだけでなく、音楽家としてのふたりの相性の良さ、国境を超えた言語感覚の親和性と化学反応、アプローチの違いも感じられる充実作となりました。

 さらに自身もシンガーソングライターとして、また実力派セッション・ミュージシャンとしてランナウェイ・ツアーでもイ・ランの音楽面を支えたイ・ヘジも参加、「何気ない道」でのメロディアスなチェロ、「Run Away」に落ちる水滴のようなピアノや、自身がアレンジしたエンディングのインストゥルメンタルと、本作に美しい彩りを添えています。

 なお、ブックレットには、イ・ラン、柴田聡子両名が綴ったエッセイを日韓バイリンガルで掲載、同じ体験=ツアーを通り抜けたふたりそれぞれの豊かな感性と視点の差、お互いへの想いや特別な友情の形も読み取っていただけるでしょう。

 なお、本作は初回完全限定盤となります。今後さらなるふたりの逃避行を期待しつつ、お買い逃しのないようお楽しみください。ソールドアウト公演が多かったランナウェイ・ツアーですが、惜しくも見逃された方も本作でご参加いただけます。

曲目
1. 鏡だったら(거울이라면)
2. 그 아무런 길(何気ない道)
3. Run Away
4. 바보 깔때기(バカ 漏斗)
5. おなかいっぱ~いです(배불러~요)
6. Run Away (piano version)

写真:三田村亮

イ・ラン(이랑):韓国ソウル生まれのマルチ・アーティスト。2011年にシングル「よく知らないくせに」でデビュー。翌夏にファースト・アルバム『ヨンヨンスン』を、2016年に第14回韓国大衆音楽賞最優秀フォーク楽曲賞を受賞したセカンド・アルバム『神様ごっこ』をリリースして大きな注目を浴びる。2018年にはエッセイ集『悲しくてかっこいい人』(リトルモア)を上梓。その真摯で嘘のない発言やフレンドリーな姿勢、思考、行動が韓日両国でセンセーションとシンパシーを生んでいる。

柴田聡子(しばたさとこ):2010年より都内を中心に活動開始。2012年のファースト・アルバム『しばたさとこ島』をはじめ、『いじわる全集』(2014年)、『柴田聡子』(2015年)、『愛の休日』(2017年)とコンスタントにオリジナル・アルバムをリリース(2019年3月にも新作発表予定)。さらに2016年には初の詩集「さばーく」を発表し、第5回エルスール財団新人賞(現代詩部門)を受賞、詩人としても注目され、エッセイストとしても活躍中。鋭利でユーモラスな言語感覚が広く共感を呼んでいる。

2018/12/14

Tara Jane O'Neil - Yoake


アーティスト:タラ・ジェイン・オニール(Tara Jane O'Neil)
タイトル:YOAKE(『夜明け(His Lost Name)』オリジナル・サウンド・トラック)
カタログ番号:SDCD-042
発売日:2019年1月15日
収録曲数:13曲
パッケージ:E式紙ジャケット(シングル)/インサート
ライナー・ノーツ::広瀬奈々子
各曲解説:タラ・ジェイン・オニール
ストリングス・アレンジメント:ジーン・クック(アイダ)
定価:1,500円+税

ご注文はこちらからどうぞ。

是枝裕和の愛弟子、広瀬奈々子の監督デビュー作『夜明け』のサウンド・トラック
演奏家/サウンドデザイナーとしての見事な手腕がこぼれるアンビエント・アルバム+α。

 『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた是枝裕和監督の下で監督助手を務めてきた愛弟子、広瀬奈々子の監督デビュー作として、さらに柳楽優弥と小林薫の映画初共演も話題を呼んでいる2019年1月18日(金)公開予定の映画『夜明け』(配給:マジックアワー)のオリジナル・サウンド・トラック。

 明かすことのできない秘密の過去を抱える青年と初老の男との静かな交わり、淡く激しい心の機微の背景を滲むような音像で支えたタラ・ジェイン・オニールのオリジナル・サウンド・トラックに、本作のために試行錯誤されたスケッチとも言える未使用トラックも蔵出し、さらには映画のエンディングを愛おしむように彩った2017年のアルバム『Tara Jane O’Neil』収録曲「Joshua」のニューバージョンも収録し、映画公開に併せて急遽リリースします。

 シンガーソングライターとしてだけでなく、演奏家として、さらに近年ではエクスペリメンタルなサウンドアーティスト/インプロヴァイザーとしても定評のあるタラ・ジェイン・オニールが紡ぎ織っていくタペストリーのようなインストゥルメンタル曲を中心に、親交の長いジーン・クック(アイダ、ジョン・ラングフォード)もストリングス・アレンジで参加したシンフォニックなチェンバー・トラックも収録。本映画のみならず、すべての「余韻」が響き渡るアンビエント・アルバムとしてはもちろん、たとえ彼女の歌声がなくとも、その端々から慈しむような歌心がこぼれ落ちる特別な国内盤限定オリジナル・アルバム。リスナーひとりひとりの眠れない夜明けのサウンドトラックとして、何度でも耳を傾けたくなる逸品が完成しました。

曲目
1. Bridge
2. Loop
3. Dream
4. Escape
5. Monk
6. Decide
7. Run
8. Escape Guitar
9. Monk Drums
10. Run One
11. Metal Dream
12. Call To Prayer
13. Joshua


タラ・ジェイン・オニール(Tara Jane O’Neil):米ケンタッキー州ルイヴィル生まれのシンガー・ソングライター/マルチ演奏家。現在はカリフォルニア州ロスアンジェルス在住。ポスト・ハードコアの嚆矢のひとつ、ロダンのベース奏者としてキャリアをスタート。バンド解散後もソノラ・パイン、ファルスタッフといったグループで活動しながら、充実したソロ活動も続けている。『Peregrine』(2000年)を皮切りに2017年の『Tara Jane O'Neil』含めて9枚のソロ・アルバムをリリースし、その他、辣腕演奏家として、セバドー、アイダ、カム、マイケル・ハーレー、ジャッキー・O・マザーファッカー、パパMなど客演作品多数。日本にもたびたび来日し、二階堂和美との共作アルバムを2011年にリリースしている。



夜明け
公式サイト:https://yoake-movie.com/


是枝裕和、西川美和監督の愛弟子・広瀬奈々子 鮮烈のデビュー
家族のあり方を問い直す本格的新世代ドラマ!

 是枝裕和・西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」が満を持して送り出す新人監督、広瀬奈々子。オリジナル脚本となる本作では、ごく普通の人々の人生を丹念に見つめながら、その奥にある複雑さ、人間の多面性を鋭く大胆な切り口で映し出す。秘密を抱えた主人公シンイチを演じるのは、『ディストラクション・ベイビーズ』『銀魂』シリーズ等、作品ごとに変幻自在の演技を見せ、役者としてさらなる進化を遂げる柳楽優弥。デビュー作『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭史上最年少の主演男優賞にかがやいた柳楽優弥が、14年の時を経て、是枝監督愛弟子の作品に主演する、まさに“運命の映画”が誕生した!哲郎役には、圧倒的存在感を放つ小林薫。ほかYOUNG DAIS、鈴木常吉、堀内敬子と実力派俳優が脇を固める。

 たったひとりのふたりが寄り添った、人生の逃避行。昨日を終わりにするために、新しい夜明けを迎えるために──。弱くて切実で、たまらなく愛おしい人間の営みが観る者の心を震わせる、新たな時代の傑作が登場した。

秘密を抱えて逃げてきた青年を拾ったのは、息子をなくした男。

地方の町で木工所を営む哲郎は、ある日河辺で倒れていた見知らぬ青年を助け、自宅で介抱する。「シンイチ」と名乗った青年に、わずかに動揺する哲郎。偶然にもそれは、哲郎の亡くなった息子と同じ名前だった。シンイチはそのまま哲郎の家に住み着き、彼が経営する木工所で働くようになる。木工所の家庭的な温かさに触れ、寡黙だったシンイチは徐々に心を開きはじめる。シンイチに父親のような感情を抱き始める哲郎。互いに何かを埋め合うように、ふたりは親子のような関係を築いていく。しかしその頃、彼らの周りで、数年前に町で起こった事件についてのある噂が流れ始めていた──。

監督・脚本:広瀬奈々子
出演:柳楽優弥/YOUNG DAIS、鈴木常吉、堀内敬子/小林薫
製作:バンダイナムコアーツ、AOI Pro.、朝日新聞社
配給:マジックアワー
(c)2019「夜明け」製作委員会

2019年1月18日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー!

2018/09/13

A Night with Tara Jane O'Neil with Chalon


下でご案内したスウィート・ドリームス・プレスの11周年記念イベント「eleven 〜スウィート・ドリームスの11〜」に合わせて来日するタラ・ジェイン・オニールの単独公演が急遽決定しました。会場は東京・渋谷の7th FLOOR、今回の来日期間中唯一の単独公演となります。

 サポートしていただくのはTEASI、わすれろ草と、過去に何度となく彼女と共演してきた松井一平くんもメンバーのひとりに連なるシャロンというDJチーム。李ペリーさん、沖真秀さんともども、きっとタラの周りを幽玄な音響で包み込んでくれると思いますのでご期待あれ。

 なお、今回のタラ・ジェイン・オニールの単独公演は、彼女のマルチ・インストゥルメンタリストとしての腕前が冴えわたるインプロヴィゼーションのアンビエント・セットと、おなじみのシンガー・ソングライターとしてのセットを分けてそれぞれのパフォーマンスを楽しんでいただけるような構成としました。タラ・ジェイン・オニールというひとりのアーティストの多彩な顔と、そして来日9回という実績が積み上げた人的な広がりや信頼をそこに感じていただけたら幸いです。まあ、いまだに日本のチューブアンプの扱いにくさには毎回文句言われてるけどね(笑)。


この写真を撮ったのがタラ・キー(アンティータム)というのも、
一部の人にとってはたまらないものがあるのではないかと。

 また、本公演のみ、ヴィジュアル・アーティストとしても知られるタラ・ジェイン・オニールのアートワークを満載した東京・武蔵小山はHand Saw Press謹製の特製ZINEが限定部数、販売されることも決定しました。さらに、前日の「eleven 〜スウィート・ドリームスの11〜」と本公演のみ、タラが周りの仲間たちに声をかけて秘密につくっていた(泣かせる…)CD『Sweet』も販売します(生産数100枚とのこと)。タラ・ジェイン・オニールはもちろん、同郷のウィルとエルサのオールダム夫妻、さらにお久しぶりのアイダやシャロン・ヴァン・エッテン……そのほかにもスウィート・ドリームス・プレスゆかりのアーティストが未発表曲を提供してくれていますので、こちらもどうぞお楽しみに。ちなみにカバーのアートワークはトータスのジョニー・ハーンドンです。みんな本当にありがとう。

 そして、さらに上記の「Sweet」にも楽曲を提供しているサッド・ホースのジェフ・ソールも緊急来日(!)、このタラ・ジェイン・オニールの単独公演のみドラマーとして数曲で参加してくれることが決まりました。「eleven 〜スウィート・ドリームスの11〜」のアフターパーティーとして、そしてもちろんタラ・ジェイン・オニールという素晴らしい音楽家に初めて接する方にとっては、これ以上ない格好の機会となりそうですので、ぜひお集まりいただければ幸いです。


A Night with Tara Jane O'Neil with Chalon
9月18日(火)渋谷 7th FLOOR(03-3462-4466)
出演:タラ・ジェイン・オニール(スペシャル・ゲスト:ジェフ・ソール
DJ:シャロン松井一平李ペリー沖真秀
開場 7:00pm/開演 7:30pm
前売り 3,000円/当日 3,500円 *ドリンク別
チケット:会場、map(aki@mapup.net
主催:map、松井一平


Tara Jane O'Neil
"What I Did Instead"
(Hand Saw Press)
サイズ:A5変形
予価:1,000円



V.A.
Sweet
Music by Dragging an Ox Through Water, Tara Jane O'Neil, Sharon Van Etten,
Will and Elsa Oldham, Fountainsun, Sad Horse, Ida, Little Wings,
Le Ton Mite + Children of Changshu
Ltd 100 Copies



若かりし頃のジェフ・ソール(左から二番目)。彼が所属していて、先日に再結成を果たしたバンド、ファック(マタドール・レコーズでいちばん過小評価されてるバンドのひとつじゃないかと)の懐かしい宣材写真より。


2017年のジャパン・ツアーより。波田野州平監督による映像を。

タラ・ジェイン・オニール(Tara Jane O’Neil):米ケンタッキー州ルイヴィル生まれのシンガー・ソングライター/マルチ演奏家。現在はカリフォルニア州ロスアンジェルス在住。ポスト・ハードコア・バンドの嚆矢のひとつであるロダンのベース奏者としてキャリアをスタート。バンド解散後もソノラ・パイン、ファルスタッフといった短命なグループで活動しながら、充実したソロ活動もスタート。ファースト・アルバム『Peregrine』(2000年)を皮切りに2017年の最新アルバム『Tara Jane O'Neil』含めて9枚のソロ・アルバムをリリースしている。その他、辣腕演奏家として、セバドー、アイダ、カム、マイケル・ハーレー、ジャッキー・O・マザーファッカー、パパMなど客演作品多数。日本にもたびたび来日し、二階堂和美との共作アルバムを2011年にリリースしている。

2018/08/18

Sweet Dreams Press 11th Anniversary


 3周年も5周年も、さらに10周年もすっ飛ばして、2007年の夏にスタートしたスウィート・ドリームス・プレスの11周年記念イベントを9月16日〜17日の2日間、これまでも何かにつけてお世話になってきた東京・町田の簗田寺(りょうでんじ)で開催することにな……。いや、開催していただくことになりました。というのも、Gofishのテライショウタくんを先頭に、錚々たる有志の皆さんが企画してくれたわけでして、なのであれよあれよと知らぬ間にこれだけの出演者が決まっていたのでした。皆さんどうもありがとう。僕は本当に幸せ者です。

 さて、特に公言してきたわけではありませんが、これまでスウィート・ドリームス・プレスからリリースしてきた制作物に僕の名前はほとんど記載していません(編集や執筆などの具体的な作業をしていない限り)。それは、エクゼクティブ・プロデューサーだとかA&Rだとか、そういう肩書きとは無縁なレーベルにしたいと思っていたからで、なので、周年記念イベントにいたっても自分が主催者として名を連ねていないのは面白いというかなんというか、いやはや、なんたることでしょうか。恐縮です。

 とはいえ、みんなに甘えっぱなしというわけにもいきませんので、おひとりでも、もちろんどなたかとご一緒でも、ぜひお越しください。僕の出来の悪い頭に収まっている小さなスウィート・ドリームスではなく、関わってくれたみんなが考える/考えた大きなスウィート・ドリームスがこの2日間にあるはずです。そしてまたここで受けた恩返しもありますので、これからもスウィート・ドリームス・プレスを続ける理由がひとつまた増えました。さあ、そろそろ重い腰を上げましょうか、ね。では、スウィート・ドリームス・プレスのイレヴンス・ドリーム・デイ、ぜひいらっしゃってください。

eleven 〜スウィート・ドリームスの11〜

9月16日(日)/17日(月・祝)東京・町田 簗田寺(りょうでんじ)
東京都町田市忠生2-5-33
出演(16日):イ・ラン柴田聡子風の又サニーミノルタナカ村岡充三富栄治井手健介と砂、nan!ka? feat. 前垣克明(ボルゾイ)、MOON FACE BOYSシネルパてぬぐいアキツユコ松井一平(ドローイング)、植野隆司 JAZZ TRIO(植野隆司稲田誠さや)、Noahlewis' Mahlon Taits
出演(17日):タラ・ジェイン・オニールわすれろ草テニスコーツGofishトリオ(テライショウタ+稲田誠黒田誠二郎)、フジワラサトシattc vs koharummm王舟、池間由布子、Her Braids碧衣スイミング齋藤紘良&ミラージュ楽団
出店:シンボパンブックギャラリーポポタムなぎ食堂(16日)、CRY IN PUBLIC(16日)、喫茶ゆすらご(17日)
音響:片岡敬|ロゴ:武部敬俊 (THISIS(NOT)MAGAZINE
開場 11:30am/開演 12:30pm(16日)
開場 10:30am/開演 11:00am(17日)*運営・会場の都合で開演時間が30分早くなりましたのでご注意ください。お詫びして訂正します。
料金:3,500円(予約)4,000円(当日)二日間通し券 6,000円(予約のみ)
*高校生以下無料
予約:sweetdreamseleven@gmail.com
*予約は両日とも予定枚数に達したため打ち切らせていただきました。なお、当日券もございませんのでご容赦ください。よろしくお願いします。
主催・協力:テライショウタ、簗田寺、齋藤紘良、波田野州平、7e.p.、小田晶房(map)、松井一平

会場アクセス:簗田寺(東京都町田市忠生2-5-33)
簗田寺(りょうでんじ)へは小田急線町田駅西口(町田バスセンター:のりば3)より、神奈川中央交通のバスで約20分ほどかかります。「町32 小山田桜台行き」「町34  小山田桜台行き」乗車「忠生二丁目」下車。もしくは「町33 下山崎行き」「町66 下山崎行き」にご乗車いただき「山崎小学校前」で下車してください。どちらもバス停より徒歩5分程度ですが、「山崎小学校前」が簗田寺の最寄りとなります。なお、以前より告知していた「下山崎行き」の路線につきましては「忠生2丁目」バス停が本年度より上記の「山崎小学校前」に改名しましたのでご注意ください。なお、会場含め近隣には駐車場がございません。公共交通機関のご利用をお願い申し上げます。

なお、各バス停の地図/時刻表につきましては下記リンク先をご覧ください。

神奈川中央交通ホームページ
https://www.kanachu.co.jp/dia/index.html

町田駅西口(町田バスセンター:のりば3)
https://www.kanachu.co.jp/dia/noriba/terminal?nid=00025625&pno=3

山崎小学校前(地図)
https://www.kanachu.co.jp/dia/noriba/stopmap?nid=00130494

山崎小学校前(時刻表)
https://www.kanachu.co.jp/dia/diagram/search?t=0&k=%E5%B1%B1%E5%B4%8E%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%89%8D&nid=00130494

忠生二丁目(地図)
https://www.kanachu.co.jp/dia/noriba/stopmap?nid=00129394

忠生二丁目(時刻表)
https://www.kanachu.co.jp/dia/diagram/search?k=%E5%BF%A0%E7%94%9F%E4%BA%8C%E4%B8%81%E7%9B%AE&sd=&t=0&x=0&y=0


elevenによせて|波田野州平


「痒いたことがないとこに手が届く」
そんな奇妙な謳い文句の本がありました。音楽の本だと思ってその本を開くと、そこには聞いたことも見たこともない、果たしてそれが音楽なのかどうなのかも分からない、僕のまったく知らない大海原が広がっていました。


僕はその大海原を泳ぎ切ろうと、必死になってその本を読み、何とかして紹介されている音楽を聞こうとしました。
赤い本の表紙には「Sweet Dreams」とありました。
それは、今から11年前のことでした。


その本をつくった人のことは、以前から知っていました。
その人は僕が買うCDのライナーノーツによく出没しては、セイレーンのように僕を未知の音楽の海原へといざなってくれました。そしてその声に導かれ、僕は知らないCDをたくさん買い、たくさんの難破と座礁を繰り返しました。


その人は、美しい人魚ではなく、福田教雄という男の人でした。


僕は勇気を出して、その人に連絡を取りました。そして自分が主催するイベントで、その本を販売させて欲しいとお願いしました。
イベント前日に届いたダンボール箱には、本と一緒に、しわくちゃのビール券が入っていました。そしてその人が僕と同じ鳥取の出身であることと、このビール券で楽しいうち上げをしてくださいと書いてありました(ちなみにこのビール券のエピソードは、今となっては本当にあったことなのか、それとも「北の国から ’87初恋」の泥だらけの一万円札のエピソードと混濁しているのか、定かではありません)。

6
その人が教えてくれる音楽はいつも、僕の中にある音楽の枠を押し広げてくれました。
それは音楽だけにとどまりませんでした。
その音楽家たちの生き方は、彼らの音楽に直接反映され、その音楽を聞くことは、生き方を学ぶことでもありました。
それは「ワイルドサイドを歩け」というのとは少し違い、「いやぁ、この道が正しいと思ってたんだけどさ、振り返ったら誰もいなくなってたんで、ひとり獣道をかき分けて、ここまで歩いてきちゃったよ」といったさりげない調子で、自分だけの生き方があることを僕に教えてくれました。

7
それから僕はその人と親しくなりました。
スウィート・ドリームス・プレス主催のイベントで映像を撮影させてもらったり、時にはツアーに連れて行ってもらったりもしました(ジャド・フェアとノーマン・ブレイクに挟まれて電車に乗ってるって一体どういうことなんでしょうか、目の前にジョアンナ・ニューサムがいて同じ鍋をつついてるって一体どういうことなんでしょうか)。
僕が運営していたセプチマという場所では、たくさんイベントを開いてくれました(セプチマの名物でもあったイベント後の花火とバーベキューは、その人の発案だったと記憶しています)。
その時間は、頬をつねりたくなるような夢のように楽しい時間でした。

8
「Sweet Dreams」と出会ったことで、僕の人生の羅針盤の針は狂いはじめたのでしょうか。それとも、ついに本当の航路を見つけたのでしょうか。それは今もってわかりません。ですが、自分だけの羅針盤があること、そのことに気づかずにいたら、僕の人生はずいぶんと味気ないものになっていたことだけは確かです。


さて、ここまで「僕」と書いてきましたが、この「Sweet Dreams」との出会いは、僕だけの経験ではなく、これを読んでいるあなたの経験とも、きっと重なるのではないでしょうか。
ということで、ここからは「僕たち」として進めます。

10
音楽の大海原にはたくさんの島があって、それぞれの島で、その島固有の奇妙で美しい音楽がひっそりと奏でられています。そして音楽が大好きな僕たちは、いつもまだ聞いたことのない音楽を聞きたいと思っています。その願いを叶えてくれるのが、僕たちには福田教雄さんであり、「Sweet Dreams」でした。
そしてこの度、スウィート・ドリームス・プレスの11周年を記念して、スイドリ祭とも呼べる音楽イベント「eleven」が開催され、各島々の音楽が一堂に(本当にお堂に)会します。

11
「Sweet Dreams」という赤い本を開いてから11年。まさか自分がスウィート・ドリームス・プレスのイベントを主催する側になるとは思ってもいませんでした。いえ、これは僕だけが主催するイベントではなく、「Sweet Dreams」を愛する僕たち皆が主催するイベントです。皆で甘美な夢のような時間をつくり上げましょう。
ということで、9月16日/17日は、ヨーソロー進路は町田へ。

2018/04/16

ASUNA Tour Diary (Europe Tour 2016) 第1話


4月14日(土)よりまた何度目かの欧州ツアーへと旅立っていったASUNA(日程はこちらでご覧になれます)。彼からはときどき道中からハガキが届けられ、いつも楽しみにしていたのだけど、と同時にいつか彼のツアー日記を読みたいなと思っていた。帰国した折に興奮して教えてくれる新しく触れたあんなことやこんなこと。最近は彼もツイッターで報告してくれ(こちら)、リアルタイムでツアーの一端を知ることもできるけど、ここにあらためて2016年のツアーの様子をまとめてもらった。本当は昨年、このウェブサイトをリニューアルして読み物ページもつくってみようと彼に依頼していた原稿だけれど、諸事情がありリニューアルにかける時間も当分なさそうなので、この機会に掲載することにしました。

 今回のツアーもいきなり乗り継ぎ便に遅れそうになったり、預けた荷物が出てこなかったり、いろいろと災難に巻き込まれているようだけど、不思議といつもなんとかなってしまうのが彼の地力(?)なのかもしれない。一緒にいると心配してハラハラしてしまうこともあるけれど、一旦あきらめて彼のペースに歩みを揃えると見えてくるものがあるのだろう。そして、彼が何度も海外に呼ばれる理由のひとつはきっとそれなのかもしれない。

 ちょうどHEADZからはASUNAのファースト・アルバム『Organ Leaf』がリイシューされ、その始まりから彼の音楽は国内・海外を問わず、越境的な性格を持っていたことも、このツアー日記から感じ取ってもらえれば幸いです。決して自己アピールが上手い性格ではないのに、毎年のように請われて海外に出て行き、そこでつながった相手もまた、彼が現在暮らす金沢の町に立ち寄って演奏をしていく。それをあまりにも自然にやっているだけになかなか顧みられることはなさそうだけれど、大事なものほどそうなのだと僕は信じたいと思っています。

 さて、それではASUNAの2016年ツアー日記のはじまりはじまり。何度かに分けて時々掲載していきますので、最後まで楽しんで読んでいただければ幸いです。

以上、福田教雄でした。


 高校生のときに読んだソニック・ユースの伝記本(編注:『ソニック・ユース・ストーリー』リットーミュージック刊)の中で、リー・ラナルドがバンドの初期の頃からずっと書いているツアー日誌の一部が紹介されていて、そのほとんどは長期ツアーの過酷さや苦労話のようなものだったのだけれど、自分にとってはバンドの冒険譚のように感じられてわくわくしながら読んだものだった。

 その当時、英語が全然読めもしないのに海外の『Resonance』とか『The Wire』などの音楽誌を買っていて、謎の演奏家やバンドたちの写真ばかりを眺めて、この音楽はきっとこんなだろうなとか頭の中で鳴り響く音の勝手な妄想にふけってばかりで、バンドをやってるどころか楽器もまったくできないのにオモチャのカセットレコーダーと付属のマイクでワーワーと謎のノイズ? でもないナニカ? を、ひとり部屋でバカみたいに叫んだり遊んだりしてるだけだった。

 そして現在。英語もいまだろくに読み書きできず、やってる音楽も当時とそんなに変わらないけど、こうやって海外ツアーの日誌を書くことになった。とはいっても、2008年に初めてヨーロッパに行ってから毎年海外ツアーに呼ばれてるのに、リー・ラナルドのようにいつも日誌をつけていたわけでもなく今回が初めて。今までのツアーも何か記録しておけばよかったと思うけど、いつも帰ってからわずかな知り合いに、こんなことがあったんだよー、って話したりするくらいだったし、いまだに自分自身のホームページ的なものを持ったことがないのでそんなことを公開する場所もなく、自分がやってる「aotoao」レーベルのツイッターやフェイスブックもレーベルとしての情報がメインなので、個人的なこともライブ情報くらいしか書いてない。しかももの覚えにかなり偏りがあるので自分のことはすぐに忘れてしまう。いま住んでる金沢でもそんなツアーの話をする相手もいないし、特に自分の存在自体も知られてもいない。だから時々自分でも「あ、自分ってほんとに海外にツアーとか行ってたんだっけ?」とかそんな気持ちになる。

 2010年にバンドのHELLLでアメリカ・ツアーに行ったときに一度だけ「aotoao」レーベルのページに特別にツアー日誌を書いたことがあったけど、実際ツアーに行ってみると毎日いろんな場所に移動してはライブしてたくさんの人に会ったりとツアー日誌を書く時間も気力もない、というのがほんとのところ。HELLLのツアーのときは日程に余裕もあったり、バンドだし演奏以外では自分の負担も少なく(他のみんなに任せっきりだっただけだけど……)。そのおかげで日誌を書けていたのだった、のだけど、そのアメリカ・ツアーの終盤には、ソロでも2回ライブがあったり、現地でのレコーディングなど、いろいろ書くべき事柄がたくさんあったにも関わらず、自分のこととなると急に書くのが恥ずかしくなったり、やっぱり書く時間もなかったりで、結局そのツアー日誌は尻切れとんぼで後半が書かれないままになってフェードアウト、からの日誌の気恥ずかしさですぐ削除。という感じだった。なので、今回の日誌も書きはじめたもののそうなる可能性大。今もヨーロッパ行きの飛行機の中で時間があるから携帯でこうやってメモ程度に書いてるだけで、実際にツアーが始まったらこんな時間もないので、たぶん何も書けないままになるんじゃないか……。でもこういう機会もなかなかないし、時間がなくて途中乱雑になってしまうかもしれませんが、なんとかこのツアー日誌、書き進めていけたらと思いますのでよろしくお願いします。


 まずは、今回のツアーの発端から。話は10年ほど前に遡ります。2003年にラッキー・キッチンという当時スペインにあったレーベルから自分はデビュー・アルバム(編注:『Organ Leaf』2003年)をリリースしたのだけど、その後にラッキー・キッチンのリリースのファンだという同じくスペインはバスク地方のアリツァ・ランダルーズという人物から突然メールがあり、彼がこれから始めるというレーベルのコンピレーションに参加してくれないかとオファーがあった。

 当時、ラッキー・キッチンは欧米では割と知られていて(日本でも局所的に人気があった)、いくつかその流れからリリースなどのオファーが海外からあったのだけど、自分の英語力のなさでいろいろ恥をかいた経験があり英語恐怖症(?)のようなものに陥っており、英語のメールはもう見たくない、みたいな感じでまったく返事を書かなくなってしまっていて、そのメールも最初はスルーしていたのだけど、アリツァ氏は何度かメールをくれたり、そのコンピには日本からminamoも参加することになってると安永哲郎さんから聞いたりして、ようやく自分もなんとか曲をつくって送ることができた。のだけど、なんとその後は一向に先方からは連絡もなく、そのまま時間が過ぎていき、結局そのコンピレーション・アルバムはリリースされることはなかったのだった……。

 それから幾数年が過ぎた昨年、突如フェイスブック上で彼からメッセージが。それは、2016年5月に彼の地元のガルダカオ市でフェスティバルを主催することになったので出演しないかというものだった。渡航費もカバーしてくれるという。ずっと連絡はとってなかったのだけど、過去数年のヨーロッパでのツアーやリリース作品など自分の動向をチェックしていてくれたようで、それで再び興味を持って声をかけてくれたみたい。さらに昔のリリースできなかったコンピレーションのかわりに、今回のフェスに合わせてASUNAの新作カセットを出さないかとも。これらの申し出を引き受けたことと、自分も7インチ作品をリリースしているベルギーのレーベル、ミュウ・ムザク(Meeuw Muzak)から、ブリュッセルとアムステルダムでレーベル・ショーケースとしてのツアーを5月に開催するので参加してくれないかとの連絡もあり、ちょうど両方の時期が重なっていることと、さらに加えて、東京からイギリスへと拠点を戻していたホーム・ノーマルからもアルバムのオファーがあり、その新作リリースも2016年の夏前あたりに決まっていたので、レーベル側と相談して、6月にロンドンでそのレコ発ライブをやることも決まり、晴れて再びヨーロッパ・ツアーを行なうことになったのだった。


 自分の場合はどこかのエージェントやマネージメントみたいなものに属しているはずもなく、ただ単にこうやって、どこからともなく突然連絡が来たりして、自然にツアーが決まっていく。自分自身でツアーに行く資金も気力もないので、毎回海外へツアーに行って帰って来るたびに、こういう良い条件のオファーは今後もうないだろう、と思っていると、また忘れたころに誰かから連絡が来る、みたいなことがここ数年たまたま続いている感じ。そして、ヨーロッパに行くとなったらその周辺各国の音楽家やオーガナイザーの人たちもよく誘ってくれるので、それらを引き受けていると毎回気がつけば1か月くらいのツアー日程になることが多い。今回は全体で1か月半のツアーになってしまった。ベルギー、オランダ、フランス、スペイン、ポルトガル、イギリス、ドイツ、チェコ、オーストリア……。全9か国。過去のツアーでのさまざまなトラブルやいつも崩してしまう体調のことを考えると不安しかないけど、考える暇もなく準備もちゃんとできてないままに気がついたら慌ただしく出発の日を迎えることになってしまっていた……。


https://www.facebook.com/kaiolafestibala/videos/868533166606567/

 この映像は、出演することになったそのスペインのフェスティバル「Kaiola Festibala」のためにASUNAの紹介ビデオとして「Kaiola Festibala、Coming Soon!」って言ってるような自分が写ってるビデオを送ってくれないかと言われて、そんなの恥ずかし過ぎてできない、と思って、そのかわりにつくったのがこれ。ライブ・インスタレーションみたいにして自分で撮影した。

*第2話へ続く

2018/04/03

Rachael Dadd - Connected to the Rock / Archipelago


アーティスト:レイチェル・ダッド(Rachael Dadd)
タイトル:Connected to the Rock / Archipelago
カタログ番号:SD07-009
発売日:2018年5月15日
フォーマット:アナログ7インチ・シングル+CD(ボーナス・トラック4曲追加収録)
リミックス:トウヤマタケオ(Connected to the Rock)
アートワーク:アーロン・セワード
歌詞対訳:喜多村純
価格:1,800円+税

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祝来日10周年、エマ・ガトリルを含む初のバンド編成のツアーに合わせ緊急リリース
次作アルバムへの期待ふくらむ待望の新作EP(アナログ7インチ・シングル+CD)

 エマ・ガトリル含む初のバンド編成による来日10 周年記念ツアーを2018 年4 月中旬よりスタートするレイチェル・ダッドから届けられた待望の新作。7インチ(2 曲収録)とCD(追加収録曲4 曲)の組み合わせに、2017 年10 月にパートナーであるICHI がリリースした「一週間歌/ Emerald House」同様、ふたりの良き仲間である画家、アーロン・セワードの精緻な水彩画を掲載したカードタイプのパッケージ含め、一対の作品として手にしたい仕様としました。

 バンジョーの細かい爪弾き に先導されながら、日常音や自然音をたっぷり取り入れた空間が広がるミニマル・サウンドスケープ・フォークとでも言うような新境地に到達したレイチェル・ダッド。この作風がこれから予定されている6枚目のアルバムの内容を指し示しているかもしれません。

 まさに彼女の日々の生活と、彼女を取り巻く環境と自然をそのまま楽曲にしたかのような、レイチェル・ダッドというノマド・シンガー・ソングライターの底知れなさとその眼差しが発揮された2 曲はもちろん、CD に追加収録された4 曲も素朴なだけではない、彼女のメッセージがそれぞれに込められた楽曲が並びます。さらに、近年の彼女が1年の半分を過ごす広島県尾道市在住の音楽家、トウヤマタケオのリミックスも収録。ここではうってかわって氏のピアノの響きがゆったりと波紋を広げ、得もいわれぬ美しいトラックへと生まれ変わりました。ブリストルの南西にある勇壮なチェダー渓谷と静かな瀬戸内の島々、それぞれへのコネクションを宿したレイチェル・ダッドの新世界はこんなにも豊かです。


レイチェル・ダッド(Rachael Dadd):英ファーナム出身のシンガー・ソングライター。2004年より拠点をブリストルに移し、ディス・イズ・ザ・キットことケイト・ステイブルズとのホエールボーン・ポーリーやウィグ・スミスとのザ・ハンドといったサイド・プロジェクトも開始、ブリティッシュ・フォークの可憐な超新星として注目を集める。最新アルバムは2014年の『We Resonate』。近年は尾道(日本)とブリストル(イギリス)で1年の半分ずつを過ごし、マグパイという手芸ブランドも手がけ、展示会やワークショップなど精力的に活動している。

【7”】
Side A. Connected to the Rock(岩とつながって)
Side B. Archipelago(島々)

【付属CD】
1. Connected to the Rock(岩とつながって)
2. Archipelago(島々)
3. Two Islands
4. Animal
5. Arrows
6. Connected to the Rock(トウヤマタケオ Remix)



Rachael Dadd - Bite The Mountain (Reissue)


アーティスト:レイチェル・ダッド(Rachael Dadd)
タイトル:バイト・ザ・マウンテン(Bite The Mountain)
カタログ番号:SDCD-040
発売日:2018年5月15日
パッケージ:CD(ジュエルケース/32pカラーブックレット付属)
ゲスト:ICHI、ロジ・プレイン、稲田誠、コルネリ、アキツユコ
ライナー・ノーツ:飯島直樹(Disc Shop Zero)/喜多村純(含:歌詞対訳)
価格:2,000円+税

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長らく廃盤となっていたレイチェル・ダッドの傑作アルバム、待望のリイシュー
彼女の生活への向き合い方が溢れる14分に及ぶ新録ボーナストラック収録の新装版

 2008 年より頻繁に来日し、列島の津々浦々まで歌声を届けていった英ブリストルのシンガー・ソングライター、レイチェル・ダッドの来日10 周年を記念して、長らく廃盤となっていた人気アルバムのパッケージを一部仕様変更し、彼女の家族や友人たちが次々と現われるフィールド録音をコラージュした長尺のミニマル・フォーク/サウンドスケープ「Sketchbook」を追加収録した待望のリイシュー。

 通算4作目のオリジナル・ソロ・アルバムとして2011 年に発表された本作は、ミックスとマスタリングにGofish トリオのコントラバス奏者としても知られ、BRAZIL、PAAP、DODDODO バンド他での活動も知られる稲田誠を迎え、公私ともに渡るパートナーであるICHI、コルネリ、アキツユコといった日本の同志も多数参加。彼女が日本で見て、聴いて、感じた驚きやシンパシーを凝縮した傑作として、今でも愛され続けているクラフト・フォークの名作です。

 三角形のおむすびの歌やハリネズミの歌など、童謡が持つコミュニケーション・ツールとしてのチャーミングな感性を曲想に持ちながら、と同時に現代社会への懐疑や戸惑いも隠さず、ていねいに言葉に紡いで表現していく点は、彼女の音楽世界の奥行きの深さを裏打ちしていると言えるでしょう。

 この後、傑作アルバム『We Resonate』(2014 年)で生命力みなぎる世界中のリズムへと眼差しを移す以前に、すでに彼女が音楽に託す情感とメッセージが揺るぎないものだったことが伝わるハンドメイド作品。ここには彼女が愛され続けていくその理由の大きなひとつが込められています。


レイチェル・ダッド(Rachael Dadd):英ファーナム出身のシンガー・ソングライター。2004年より拠点をブリストルに移し、ディス・イズ・ザ・キットことケイト・ステイブルズとのホエールボーン・ポーリーやウィグ・スミスとのザ・ハンドといったサイド・プロジェクトも開始、ブリティッシュ・フォークの可憐な超新星として注目を集める。最新アルバムは2014年の『We Resonate』。近年は尾道(日本)とブリストル(イギリス)で1年の半分ずつを過ごし、マグパイという手芸ブランドも手がけ、展示会やワークショップなど精力的に活動している。

1. Balloon
2. Tsubomi
3. Claw And Tooth
4. In The Morning
5. Moth In
The Motor
6. The Distance
7. Hedgehog
8. Rice Triangle
9. Time Makers
10. Tower Tower
11. Good Good Light
12. Anchoring
13. The Wind And The Mountain
14. Window
15. Sketchbook(* 国内盤限定ボーナストラック)