2020/04/21

スウィート・ドリームス・プレスからのご挨拶


前回のお知らせからひと月と少しが経ち、その間、信じられないスピードで世界は大きく変わってしまいました。皆さんいかがお過ごしですか? 不安は尽きませんが、どうぞ元気でいらっしゃいますよう祈っています。

ともあれ、ジャド・フェアはじめ多くの公演をキャンセルせざるを得ませんでしたが、こちらは先月にもいくつかの公演を主催し、レコーディングに立ち会うなどして割と忙しく過ごしていました。あらためてお世話になった方々、そしてリスクある状況の中、会場までお越しいただいた方々に心より感謝申し上げます。

反面、4月に入ってから依頼されて書いた2本の原稿は、ひとり悲壮感に打ちひしがれていて、いま読み返して赤面しています。でも、そのときはそう書くことが精一杯でした。自分の個人的な問題と、今、多くの人の身に降りかかっている大きな問題がこんがらがって、なんとか言葉をひねり出そうとあがいていましたが、虚ろな自分がそこに立ちはだかって気持ちだけ焦っていました。また、上に書いたようにいくつかの公演を3月に開催したことに対して、その後いろいろと考えこんでしまったこともあります。

と、ひどく悶々と日々を過ごしていましたが、でも、先週にまた身近な親族の不幸があり、そこで気が引き締まりました。悲しみに浸るのはひとまずお預けにしようと思います。

そういえば、日本共産党の志位委員長の最近のツイートに指揮者の沼尻竜典氏の「文化・芸術は水道の蛇口ではない。いったん止めてしまうと、次にひねっても水が出ないことがある」という言葉を引用したツイートがありましたが、そこから思い出したことがひとつあります。僕が育った鳥取県の米子というところでも子どものころは冬になるとひざ下まで雪が積もる日があり、そんな寒い日には水道管が凍結して破裂しないよう、ちょぼちょぼと水を出しっぱなしにしていたことです。

スウィート・ドリームス・プレスはご存知のように小さなレーベルですが、そろそろ重い腰を上げて、少しでも水を流して身の回りが凍ってしまわないようにできたらと思います。作品の制作に関わった方々にわずかでもギャランティを支払うことで、また、苦境に立たされている小売店が販売できるものをひとつでも用意できれば、少しは役に立てるでしょう。また同時に、これから大きく変わっていくだろう社会を見すえて凍結しない蛇口も新しくつくらないと、と、そんなことを考えています。

コロナウイルス以前から解決されないままの問題も山積していますし、また、コロナウイルス後の時間が果たしてやってくるのかどうか、それがどのような形でいつやってくるのかはわかりませんが、今の状況を口実にして誰かが世界を改悪することのないよう、そして自分もつぶされてしまわないように。

というわけで少しペースダウンしていましたが、これから音楽のリリースを再開します。また、年内を目標にデジタルでの販売も具体的に考えはじめました。個人的には、みんながモニターの前から少しでも離れられるようなものもつくりたいなと思っています。「スウィート・ドリームス」って、これからお布団に入る人に掛ける言葉だもんね。集まることがなかなかできないからこそ、ひとりに安心できるような何かを。

4月になって電車に乗ったのは、お店への納品と確定申告を提出しに税務署に行っただけ。あとは日々の食料品の買い出しで近くのスーパーに行くか家の周りを散歩するぐらいで静かに(もちろん現政権がやることなすことへの怒りはとめどなく溢れつつ)生活していますが、その他に大きく変わったことがあるとしたら、それは今までよりも長くじっくり音楽を聴くようになったことでしょうか。そういえば快晴だった先日の日曜日、澄み切った青空はまるで夢のようで、人混みを避けてひとりあてもなく散歩し、公園のベンチに座ってイヤホンで音楽を聴きながら本を読んでいると、そういえば子どものときからこんな感じだったなと思い当たり、自分への信頼感が少し取り戻せたような気がします。

では、これからのスウィート・ドリームス・プレスをどうぞよろしくお願いします。そして、くれぐれもお気をつけてお過ごしください。僕は当分家にいるので、いつでも気軽に声をかけてもらえると嬉しいです。