2010/03/31

Interview with Ryan Francesconi


ジョアンナ・ニューサム・バンドの貴公子(?)、ライアン・フランチェスコーニのアルバム『パラブルズ~たとえばなし』、既に店頭に並んでいるお店もありますが、明日、4月1日(木)に発売となります。皆様、どうぞよろしくお願いします! 試聴はこちらで。

というわけで、今つくっているフリーペーパー「スウィート・ドリームスのヒビ」用に、現在、ジョアンナ・ニューサム・バンドの一員として全米をツアー中の彼に幾つか質問をしてみました。『パラブルズ』の背景を紐解く、何かのヒントとか発見なんかが含まれていれば幸いです。うん、ライアン、面白い人だな。

ヨーロッパのアコースティック・フォーク音楽、とりわけ、ブルガリアのトラッド音楽には、どうやって出会ったんですか?
こういった音楽に初めて出会ったのは、1992年に大学に通いだしてからだね。最初は僕のギターの師匠だったミロスラヴ・タディック(Miroslav Tadic:『Guitar Player』誌1997年1月号で「世界前衛ギタリスト30傑」に選ばれたセルビア人ギター奏者。アメリカ在住)から、また、作曲という点ではベラ・バルトークの作品を通して、これらの音楽を学んでいったんだ。そのころの僕の音楽は、東欧トラッド・フォーク音楽からの影響がモロだったね。今でも僕のメロディやハーモニーのセンスは、ブルガリアのフォーク音楽を土台にしたものだと言えるんじゃないかな。一方で、僕にはクラシックやジャズの素養もあるけど、最もインスパイアされたのはフォーク音楽だということは確かだよ。

ザ・トイズトリオ・モプムといった、あなたがかかわっていたトラディショナルなスタイルのバンドについて教えてください。
そういった音楽を実際につくっていくことで、僕はそれらの音楽のスタイルを独学で身に着けていったんだ。ザ・トイズは、1997年、僕が、極々トラディショナルなバルカン・フォーク音楽をプレイし始めた直後に結成したバンドでね。そういったスタイルで、いろいろな作曲法を試してみるための受け皿が欲しかったんだ。だから、このバンドは自分たちの楽しみのため、いろいろな音楽を自分たち流に演奏するために結成したと言えるだろうね。トリオ・モプムは、2003年にブルガリアで3ヶ月を過ごして帰国してからつくったグループだよ。そのときの僕の興味は、ザ・トイズでやっていたようなアマルガム状の音楽ではなくて、もっと純粋なブルガリア音楽をやることにあったんだ。また、いろいろなものを受け入れられるよう、ジャズ・インプロヴァイゼーションに根ざしたバンドをやりたかったというのもある。最近は、時々集まって練習するぐらいだけど、昔が懐かしいな。コンサートをやる機会を無理してでもつくらなきゃって思えてきたよ。

ジョアンナ・ニューサムと出会ったいきさつについて教えてもらえますか?
ジョアンナとは、あるフォーク音楽のイベントで出会ったんだ。そのイベントで、僕はブルガリアのフォーク音楽を教えていてね。彼女の演奏はもちろんだけど、あのクレイジーなファッションにも度胆を抜かれたな! 2005年のことで、そのときには彼女の音楽は聴いてなかった。でも、だんだんと仲良くなってね。そうしたら、彼女から制作中のアルバム『Ys』をライヴで演奏できるようにバンドを組みたいって相談を受けたのさ。で、複雑なオーケストラ・アレンジをどうやって小編成のバンドに落とし込んで、発展させられるかアドバイスしてあげてね。僕も、ヴァン・ダイク・パークスがやったオーケストレーションをライヴ用にリアレンジして、とにかくいろんなバージョンをつくった。そのときの苦労を思うと、今年は最高だよ。何たって、彼女の新作『ハヴ・ワン・オン・ミー』のアレンジを全部任せてもらえたんだからね!

先日、ジョアンナ・ニューサムのバンドの一員として来日されていたとき、あなたはRFとしての活動をやめ、もうエレクトロニック音楽はやらないと言っていましたね。もう一度、その理由を教えてもらえますか?
RFでやれることが終わったように思えて、それでRFをやめることにしたんだ。そろそろやめるべきなんじゃないかって、ピンと来ちゃったんだよね。あのころにつくっていた音楽は、プログラミングに没頭してた自分を反映してた。バルカン・フォークみたいな複雑な音楽が聴けなくなって、アンビエントばっかり聴いてたんだ。そうして、自分がつくる音楽もアンビエント風のものばかりになっちゃってね。
でも、コンピュータを使って音楽を演奏することに興味が持てなくなったんだ。正直、今までコンピュータでの演奏を楽しめたことなんてなかったけど、それ以外にRFのサウンドを表現する術がなかったんだよね。それに、最新のソフトウェアを使えば、どんな素敵なサウンドも簡単につくれちゃうんだ。自分にとっては、もの珍しい玩具みたいなものだったけど、最終的に、コンピュータで彫刻するように作曲したものって、その音楽自体の説得力がどんどん失われていくように思えてきてね。もちろん、コンピュータを使っている人すべてに僕の意見が当てはまるわけじゃないけど、とにかく僕にとってはそうだった。で、偶然か必然か、プログラミングとエレクトロニック音楽から同時に離れていくことになったんだ。
RFでの活動をやめてから、僕は数年、バロック期のリュート音楽だけを聴いて過ごした時期があるんだ。もっともピュアな音楽に感じられてね。そうして、また自分のギター演奏に興味が戻っていったんだ。それまでずっと、僕はいろんな楽器を演奏することにかまけて、ギターはないがしろにしていたんじゃないかな。だから、自分にとってはチャレンジでもあったんだ。ギター1本のレコードがつくれるぐらいになるかどうかという、ね。
とにかく、ピュアな音楽がつくりたかった。プライベートなもので、ひとりで演奏できるような音楽をね。そして、2008年夏、アンドリュー・バードが、自分のコンサートのオープニングに僕を招いてくれて、それから、僕はギターの独奏を自分のソロ・プロジェクトとして受け入れられるようになったんだ。他に選択の余地もなかったしね。どちらにしても、ひとりで演奏しなきゃいけなかったんだから!
『パラブルズ~たとえばなし』は、本名でリリースする初めてのレコードで、素顔の僕にとても近いもののように感じてる。だからこそ、初めて自分の本名を冠する気になったんだろうね。文字通りの独奏で、オーバーダブもなし、ただ、演奏を録音したんだ。そんなつくり方、今まで、僕はしたことがなかったんだけどね。

最後に『パラブルズ~たとえばなし』の良きサブテキスト、リファレンスになりそうな音楽を紹介してもらえますか?
直接の影響源として、『パラブルズ~たとえばなし』におけるパンドラの箱と言えそうなのは、シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(Sylvius Leopold Weiss:ドイツ後期バロック音楽の作曲家・リュート奏者)だね。そこにすべてがあると思うよ。
それからドイツ人作家のヘルマン・ヘッセも第一の影響源だね。とりわけ、彼の『ガラス玉遊戯』に、本物かつ明白な芸術表現を見出したことは大きい。下心のない何かを。これが僕を惹きつけ、同時にインスパイアしたんだ。15歳のときからヘッセの本を読んできたけど、年をとるにつれて彼の捉え方が変わってくるんだよね。
で、最終的に、僕は可能な限りエゴイスティックな動機のない新しい音楽をつくりたいんだってことが分かったんだ。でも本当に、それ以外に嘘のない芸術をつくる方法なんてないんじゃないかな。もちろん、本当の自分を見つけるなんて、なかなか難しいことだけどね。

2010/03/26

Tara Jane O'Neil Japan Tour 2010 大決定!

上は、タラ・ジェイン・オニールの近作絵画より。相変わらず、いい絵をお描きになってるな~。タイトルはレインボーヘッド! まさに。

と、さて、最近は虫歯が痛んでかわいそうな彼女の、5回目となるジャパン・ツアーが決定しました! 詳細はこちらの「EVENT」ページをご覧ください。簡単な日程は右側にも入れておきますね。

そして、このツアーのフライヤーに、ライアン・フランチェスコーニのインタビュー等、スウィート・ドリームスの近況記事をプラスアルファしたペーパーも、今、つくっています。全国各地、配布に協力していただける方を大募集していますので、お気軽にご連絡ください。よろしくお願いしますっ!

2010/03/17

Genevieve Castree - Ou

アーティスト:ジュヌヴィエーヴ・カストレイ
タイトル:魔法使い
会場:目白・ブックギャラリー ポポタム
会期:2010年3月17日(水)~27日(土)
時間:正午12時~午後7時(最終日のみ午後5時まで)
定休日:3月22日(月)

ギャラリー・ライブ
3月17日(水)
開場 7:30pm 開演 8:00pm
入場料:1,500円
ジュヌヴィエーヴ・カストレイによる音楽とパフォーマンスをお楽しみください。
予約受付:ブックギャラリー ポポタム(先着30人限定となります)

会場:京都・トランスポップギャラリー
会期:2010年4月14日(水)~25日(日)
時間:正午12時~午後7時(水~土)/正午12時~午後6時(日)
定休日:月・火曜日

問い合わせ:トランスポップギャラリー
〒606-8203 京都市左京区田中関田町22-75
ph: 075-723-1780

「魔法使い」は、ジュヌヴィエーヴ・カストレイにとって、国内3度目となる個展です。今回の展示は、「ウー」というキャラクターに焦点を当てたものとなります。猜疑心にとらわれた18歳の少女、ウーが世界を見渡す眼差しとは。気難しいウーの友達はパンクスやヒッピーたち。がらくたを集め、ゴミ箱をあさる日々。魔法使いのような格好をしているウーだけれど、その魔法は、心配をいろいろ抱えながらも、なお、その上をふらふらと漂っていられることにあるのかもしれません。また、本展には、ジュヌヴィエーヴ・カストレイが2009~10年に制作した最近作も展示される予定です。

ジュヌヴィエーヴ・カストレイ
イラストレーター|1981年カナダ生まれ。フランス系カナダ人。1997年から私家本の制作をはじめ、1999年にモントリオールの出版社から作品を発表。2001年、カナダ・カウンシル・フォー・ジ・アーツからの奨学金を得て制作した自身のプロジェクト「Pamplemoussi」を2004年に発表し、大きな賞賛を浴びる。彼女の作品は、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、スロヴェニア、スウェーデン、アメリカ各国で出版され、コミックとアートの境界を越える精緻な描写が熱狂的な人気を集めている。また、ウォーヴやオ・パンという名前で音楽活動も継続。イラストブックつきのアルバムが米Kレコードよりリリースされている。2006年3月、マウント・イアリ(元マイクロフォンズ)の国内ツアーにウォーヴとして同行。同時に「Sang Jeune」と題した初個展を開催し、2007年には再び東京で「仮面」展を開催している。

無事終了いたしました。たくさんのお客様にお越しいただき、誠にありがとうございました。

Genevieve Castree - Ou


アーティスト:ジュヌヴィエーヴ・カストレイ
タイトル:ウー
カタログ番号:SDOU-001
発売日:2010年3月17日
サイズ:144×107mm
ページ数:36ページ

定価:900円+税SOLD OUT
2010年3月17日~27日まで、東京・目白のブックギャラリー・ポポタムで開催された「魔法使い:ジュヌヴィエーヴ・カストレイ展」を記念して制作された日本語版ミニ・コミック。「ウー」と名乗る魔法使いの女の子が日々遭遇するあれこれを題材に、成長やフェミニズム、人間関係といったトピックを身近に浮かび上がらせる。きっと、誰もが身に覚えのあるシーンが登場して、ジュヌヴィエーヴ・カストレイの世界をのぞいてみるにはこれ以上ないほどフレンドリー&ポジティブ作品です。

2010/03/16

魔法使い Geneviève Castrée Exhibition

さて、明日(3月17日)より、かねてより告知してきたジュヌヴィエーヴ・カストレイの国内3回目となる個展『魔法使い』がはじまります。「ウー」という名前の奇妙な女の子が登場する日常の冒険譚を中心に、近作も含め、彼女の精緻なドローイング世界を堪能できる30点以上を展示しています。やっぱり実物はすごいゾ!

また、その「ウー」の物語は、今回の展示にあわせて日本語訳を施したコミック・ブックになりました。表紙は作家本人による活版印刷で、本文ページは日本にやってきてから印刷に出してぎりぎり間に合ったという奇跡(?)の逸品です。さらに、明日、お昼のオープンからいらっしゃったお客様は、作家本人がしこしこと手縫いでページを綴じているという夢のような(?)光景を目撃できるはず。つまり、まだできてないんだけど(笑)、少なくともお買い上げの方は出来立てホヤホヤの一冊を手にできちゃう(!)という素敵な仕掛けになってます。

そ・れ・か・ら……。

ジュヌヴィエーヴさんは、ウォーヴやオ・パンという名前で音楽活動もしています。過去にはオリンピアのKや、ポートランドのマリッジから作品をリリースしてきました。ちなみに、オ・パンって名前は、フランス語で<オー・ピーコック!>って意味だそう。何か素敵じゃない?


というわけで、その音楽も、明日の夜、オープニングを記念してギャラリーで披露されます。ギターと歌声の断片をループさせ、そこにフランス語の歌詞を流していく、とっても聴き応えのあるパフォーマンスになること請け合い。ぜひ皆様、お誘いあわせの上、いらっしゃってください、ね! 詳細は、下記をごらんください。
魔法使い

2010年3月17日(水)~27日(土)
時間:正午12時~午後7時(最終日のみ午後5時まで)
定休日:3月22日(月)

ギャラリー・ライブ
3月17日(水)
開場 7:30pm 開演 8:00pm
入場料:1,500円
ジュヌヴィエーヴ・カストレイによる音楽とパフォーマンスをお楽しみください。
予約受付:ブックギャラリー ポポタム(先着30人限定となります)

「魔法使い」は、ジュヌヴィエーヴ・カストレイにとって、ブックギャラリー・ポポタムでの3度目となる個展です。今回の展示は、「ウー」というキャラクターに焦点を当てたものとなります。猜疑心にとらわれた18歳の少女、ウーが世界を見渡す眼差しとは。気難しいウーの友達はパンクスやヒッピーたち。がらくたを集め、ゴミ箱をあさる日々。魔法使いのような格好をしているウーだけれど、その魔法は、心配をいろいろ抱えながらも、なお、その上をふらふらと漂っていられることにあるのかもしれません。また、本展には、ジュヌヴィエーヴ・カストレイが2009~10年に制作した最近作も展示される予定です。

イラストレーター|1981年カナダ生まれ。フランス系カナダ人。1997年から私家本の制作をはじめ、1999年にモントリオールの出版社から作品を発表。2001年、カナダ・カウンシル・フォー・ジ・アーツからの奨学金を得て制作した自身のプロジェクト「Pamplemoussi」を2004年に発表し、大きな賞賛を浴びる。彼女の作品は、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、スロヴェニア、スウェーデン、アメリカ各国で出版され、コミックとアートの境界を越える精緻な描写が熱狂的な人気を集めている。また、ウォーヴやオ・パンという名前で音楽活動も継続。イラストブックつきのアルバムが米Kレコードよりリリースされている。2006年3月、マウント・イアリ(元マイクロフォンズ)の国内ツアーにウォーヴとして同行。同時に「Sang Jeune」と題した初個展を開催し、2007年には「仮面」展を開催している。

問い合わせ:ブックギャラリー ポポタム
アクセス:JR目白駅より徒歩7分
JR・西武池袋駅より徒歩9分
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-15-17
ph: 03-5952-0114

企画制作:
Sweet Dreams

2010/03/14

Ryan Francesconi "Parables"


ご無沙汰しちゃいました。ごめんなさい。さて、スウィート・ドリームスは、この度、ライアン・フランチェスコーニのアルバム『パラブルズ~おとぎばなし』を急遽リリースすることになりました。ライアン・フランチェスコーニは、RF(アールエフ)という名義で活動を続けながら、並行してザ・トイズトリオ・モプムといったプログレッシブなバルカン~ブルガリアン・トラッド・バンドの一員として、また、何よりも近年のジョアンナ・ニューサム・バンドの一員として、彼女の音楽を達者な弦楽器奏者~アレンジャーとして支えている人物です。

今月頭にリリースされたジョアンナ・ニューサムの大作『Have One On Me』でも、彼はブルガリアン・タンブーラ、アコースティック・ギター、バンジョーやマンドリン、コラなどの演奏のみならず、ピアノやボーカルのアレンジから、オーケストレーションのアレンジ&指揮までと、まさに八面六臂の大活躍をしています。その名前は、多分、これからぐっと注目されていくに違いありませんが、ま、それはそれとして、スウィート・ドリームスが興味があったのは、その素顔というか、シンプルなプライベート・セッションのようなものだったのでした。

というわけで、先日、ジョアンナ・ニューサム・バンドの来日前にダメ元で訊いてみると、偶然か必然か、もうRFとしてのエレクトロニック音楽の制作はやめて、本名でアコースティック・ギターの独奏作品をつくっているとのこと! 話がとんとん拍子に進んで、この度、スウィート・ドリームスのオリジナルCDとしてのリリースが決定したのでした。やったね!

そして届いたこの作品、ブルガリアのトラッドやクラシック、バロック等々、彼のバックグラウンドが指盤の上で跳ねていく充実の1枚となっています。無添加無加工無着色の独奏作品のため、ややもすると聴きなれない音楽だなと近寄りがたく思われる向きもいるかもしれませんが、例えば……、何かぼんやりしてやることが思いつかないとき、やらなきゃいけないことが手につかないとき、そんなときに静かに流してみてください。カチッ……。きっと、何かが起こるんじゃないかなっ、と。

収録曲のうち何曲かは、ライアン・フランチェスコーニのマイスペース(こちら)で聴くことができますが、窓付きの特製紙パッケージの制作もがんばったことだし(組み立てを手伝ってくれたYさん、Kさん夫妻、SくんにHくん、それからKちゃん、いつもどうもありがとう!)、できればCDを手に取ってみてもらいたいな。

発売日は4月1日。ですが、昨日から始まったジョアンナ・ニューサムの北米ツアー開始に合わせ、もうどっさりとでき上がっております。発売日を気にせず、お気軽にご注文ください。

では、春の日を心ゆくまで。で、そうそう。例えば、水曜日まで青山のビリケンギャラリーで開催しているミシシッピさんの個展「ブルーバード」に行くなんてどうかしら、ね? 不思議な鳥の夢が見れるよ。