2008/02/05

3 NEW SENSATIONS

さて、今年になってちょこちょこ気になるバンドがいるので、こちらでちょこっとご紹介。『スウィート・ドリームス』第2号までの余興、というか場つなぎ……、間食……? もっと適当な言葉がある気もしますが、まあ、そのようなものとして一寸。まず、今年いちばんの衝撃といったらこれ。ドラッグ・シティからEP「Body Language」のリリースを4月に控えているイスラエル、テル・アヴィヴのバンド、モノトニックス。ボーカルのアミ・シャレヴのルックスからして、フィル・ライノット(シン・リジー)かテッド・ニュージェントかラモス瑠偉かってなぐらいの野獣味ですが、その見かけに反することなく、ライヴとなるとやたらゴミ箱に入っちゃうわ、シンバルに火をつけるわ、ドラム解体して観客のもとにお届けしちゃうわ。その上、バスドラムを観客が持ち上げて、その上にドラマーよじ登り「バンザ~イ!」。で、観客大盛り上がり、と、映像を見る限り最高なんです。なんだか入りこむスキがないように感じてしまっていたイスラエルという国の実際に、もちろん、そのごく一端でしょうが、このように最高の一端があるのを見つけたことで、自分にとってもなにかの一端になる。そんなバンドかもしれません。

次は、ちょっと落ち着いて、シークレットリー・カナディアン傘下のデッド・オーシャンズからのデビューが決まった米ノースカロライナ州ラーリーの3人組、バウアーバーズを。元々、チコンデロガという名前のインディー・トリオをやっていたフィル・ムーアが、ノースカロライナ自然科学博物館に雇われて渡り鳥を追跡する仕事に就いたことが、このバンド結成のはじめの一歩。誰もいない森の中のトレイラーハウス、そこにヘンリー・ソローよろしくひとりぼっちで生活する日々がはじまったわけですが、そこにガールフレンドで絵描きをしているべス・タキュラーがやってきて、フィルの隣で絵を描きはじめる。ちょうどチコンデロガの解散も決まっていた頃、最初は手慰みだったのでしょう、ベスもアコーディオンの弾き方だとかマーチング・バンド・スタイルのバスドラムだとかを覚えて、こうしてバウアーバーズが活動を開始するわけです。もちろん、そのアコースティックで素朴な佇まいも素敵なんですが、驚いてしまったのが彼ら、そのトレイラーの近くに築100年の納屋を手に入れ、自分たちの手で──電気工具をいっさい使わずに文字通り「手で」──その納屋をリフォームしている、ということ。窓をくわえ、扉をくわえ、1階の床面積45平米という「ちょうど良いサイズの」生活の場を作り上げているらしいのです。小さなソーラーパネルでの発電と薪ストーブ、堆肥トイレ。まだトレイラーの中で寝起きしているというふたりですが、最近は温度も氷点下になっているようで、それはそれで大変そうではありますが、こうしたシンプルな日常生活が、彼らのアートを裏支えする最も大きなものなのでしょう。まずはこちらで彼らの愛らしい演奏風景をご確認ください。

そして最後に紹介するのが、2000年の映画『あの頃ペニー・レインと』出演で注目を集めた女優のズーイー・デシャネルとM.ウォードによるニュー・ユニット、シー&ヒム。ふたりの出会いは2006年、映画『The Go-Getter』のサウンドトラック用にリチャード&リンダ・トンプソンの「When I Get to the Border」をカバーしたことがきっかけだったそうですが、その後、お互いの懐メロ趣味な音楽観が共通することもあって急速に仲良くなったのだとか。過去、マルーン5のミッキー・マデンや俳優のジェイソン・シュワルツマンなど、数々の浮名を流してきたらしいズーイーだけど、もしや……。ま、それはともかく、ズーイーが日ごろコツコツと書き、録り溜めていた自作曲をM.ウォードに聴かせるうち……というのが、このユニットの出発点。公開が待たれるジャニス・ジョプリンの伝記映画『The Gospel According to Janis』の主役(つまりジャニス役)に抜擢されたズーイーだけに、その歌唱力は折り紙つきだとは思いますが(でも、ルックスはまったくジャニスじゃない……)、いや、これがなかなか素敵で聴き惚れてしまった次第。確かにレーベルからのプレス・リリースにあったように、ダスティ・スプリングフィールドとかリンダ・ロンシュタットとか、往年のアメリカン・ポップスの屈託のなさ、明るさが持ち味と言えそうなシー&ヒム。相変わらず湿度たっぷりのM.ウォードのエレクトリック・ギターもキブンだなぁ。と、このふたりのデビュー・アルバム『Volume One』はマージ・レコーズから3月18日にリリースが予定されています。それまでは、こちらで収録曲の「Why Do You Let Me Stay Here?」がダウンロードできるので、ぜひご一聴を。