2014/12/06

James Wallace Japan Tour 2014


 ジェイムズ・ウォーレスという耳慣れない名前のシンガー・ソングライターのことを教えてくれたのは、数年前に敦賀に住んでいたアンディ・ジェンキンズくんでした。彼は日本に来る前にはグレイト・ホワイト・ジェンキンスというバンドを今では人気者になったSSWのマシュー・E・ホワイトと組んでいたり、また、地元米バージニア州リッチモンドでとても面白そうなギャラリーのキュレーションをしていたりー ースウィート・ドリームス・プレスがアメリカのアーティスト/コミック作家のロン・リージー・Jrの冊子(これ)をだしたのも彼にそそのかされてのことだったりーー、と、なかなかの曲者だったわけですが(でも見た目は冴えない浪人生風)、その彼からある日メールで「ジェイムズ・ウォーレスという友達が日本に行くのだがライブのブッキングをしてくれないか?」とのお達しが。大体僕らがやっているような小さなライブはこんな風にして始まることが多いのですが、今回もまたそうやってスタートしたのでした。多分、同じように神戸のライブも、京都のライブも決まったのでしょう。

 そして、そのジェイムズ・ウォーレスさんのことを調べていくうちに、いろんな「!」が頭の中で鳴ったわけでした。擬音をつけるなら「ピンポーン!」でも「ビンゴ!」でも「ガチョーン!」でも、とにかく「ワオワオ!」です。というわけで、こうやってスウィート・ドリームス・プレスのサイトで正式に告知するのも昨日の今日どころか今日の今日で申し訳ありませんが、とにかく本日から3日間、彼の日本ツアーが始まります。もし、あなたの行動範囲内にジェイムズ・ウォーレスが侵入したら、ぜひ捕まえにきてください。きっと彼も捕まえ甲斐のある素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれることでしょう。各公演、趣向を凝らしてお待ちしております。


James Wallace in Septima
12月6日(土)立川 ギャラリー・セプチマ
東京都立川市柏町3-8-2
出演:ジェイムズ・ウォーレス、T.V. not Januaryoono yuuki池間由布子
開場 6:00pm/開演 6:30pm
料金 2,000円
予約:ギャラリー・セプチマ(galleryseptima@gmail.com)、スウィート・ドリームス・プレス(info.sweetdreams@gmail.com


Tiny Song Festival-James Wallace Japan Tour in Kobe-
12月7日(日)神戸 スペースオー
神戸市中央区元町通2-6-10ミナト元町ビル3F
出演:ジェイムズ・ウォーレス、ラヴラヴスパークMoon Face Boyshatonoband
開場 6:00pm/開演 6:30pm
料金 1,500円(予約)/1,800円(当日)
予約:sukima industriessukimaindustries@gmail.com



ADVENT! ADVENT! ユーゲ、冬のおたのしみ会〜「ナッシュビルから来た男」篇
12月8日(月)京都 ユーゲ(075-723-4707)
京都市左京区下鴨松原長4-5
出演:ジェイムズ・ウォーレス、もしもしと三匹の毛虫、mississippi
歌とギター、紙芝居や人形劇などなど。飛入り歓迎。
開場 7:30pm/開演 8:00pm
投げ銭



もし監獄に入れられて音楽でケンカするはめになったら、ぜひとも味方にしておきたい。ジェイムズ・ウォーレスはそんなヤツなんだ。賢くて器用で少し向こう見ず。どこからともなくやってきて、尖らせたスプーンで背中を突き刺していくような曲。百科全書的会計士の知能とストリートに暮らす狂ったホームレス男の洞察力でウォーレスは曲をつくるんだ。 /RVA Magazine(米ヴァージニア州リッチモンドの無料カルチャー誌)



ジェイムズ・ウォーレス(James Wallace)について少し

1984年10月6日、米ヴァージニア州リッチモンド生まれ。そのとき2マイル先のリッチモンド・コロシアムではグレイトフル・デッドが「Going to Hell in a Bucket」を演奏してたとかしてなかったとか。2002年7月の雨の日の朝、大事にしていたピーウィー・ハーマンの人形の声が出なくなったのをきっかけにリッチモンドを離れ、4年後にテネシー州ナッシュビルへ到着。彼の地で6人編成のバンド、ネイキッド・ライトを組織し、中国語通訳として働き、また、そのことが縁になったのだろう、東洋音楽をブルーグラスに融合させた異色クロウハンマー・バンジョー奏者として評価著しいアビゲイル・ウォッシュバーンの2009年の中国ツアーにバンドの一員として同行したりもしている。

 ちなみにそのツアー中、北京の小さなインディー・レーベル、タグ・チームから同レーベルがリリースするカセット・シリーズの1本に誘われ、アメリカに帰国後に制作したアルバムが2009年にリリースしたファースト・アルバム『I Smile All Day I Smile All Night』以来となる『More Strange News From Another Star』だった。プロデューサーはヴァージニア州リッチモンドでソウル〜ファンク〜ゴスペル新解釈派として知られるスペースボム・クルーの顔役、マシュー・E・ホワイト。このセカンド・アルバムは2010年4月に完成するが、しかし、そのときレーベルは既に閉鎖していたというオチがついてしまう。

 その後、ザ・ネイキッド・ライトを従えてのツアーやボナルー・フェスティバル出演など旺盛な活動を経て、『More Strange News From Another Star』は2012年4月にリッチモンドのダイアローグ・レコーズからリリースされている。

 さて、特にこの『More Strange News From Another Star』は、ジェイムズ・ウォーレスのテンダーな歌い口や、アフリカ音楽、ラテン、ゴスペルなど多彩な影響の消化の様子でポール・サイモンが引き合いに出されたりもしているが、いやいや、このアルバムはそんな簡単なものでもないだろう。ここにある音楽の幅広さ、若さや血の熱さ、センチメンタリズムやロマンチシズム、エキゾチシズムを物語化することの見事な手腕、音楽の厚みや歴史のまとめ方等々は、今後ジェイムズ・ウォーレスと彼のザ・ネイキッド・ライトが、スフィアン・スティーブンスやマーキュリー・レヴ、レッド・レッド・ミート〜キャリフォン、アンドリュー・バード、オーウェン・パレット、ボン・イヴェール、キャス・マッコームス、アイアン&ホワイト、オカヴィル・リヴァーといった先達たちと肩を並べる存在となることをどこかで証明しているのではなかろうか。……なんて大言壮語に響くかもしれないが、でもなにかしでかしてくれそうな、そんな予感が彼の音楽からはムンムンと香ってくるのでありました。ぜひ、実際にあなたの目と耳で確かめてみてください。ジェイムズ・ウォーレス、のちに語り草となりそうな初のジャパン・ツアーです。

2014/12/02

Sonny Smith Japan Tour 2014 Tour Dates


 さて、東京2公演についてはこちらを。また、お蔵入りしていたインタビュー記事(前編)はこちらを読んでいただくとして、来週からのソニー・スミス(ソニー&ザ・サンセッツ)のツアー日程、ただいま概要が決まっているところだけでも下に掲載しておきます。東京・立川、京都、広島、浜松、東京・渋谷、松本の7公演。このほかに大阪(12月15日)、東京・下北沢(12月19日)、宇都宮(12月20日)の3公演も招聘元のムーアワークスが調整中とのことで計10公演!

 というわけで各会場賑やかになりますよう。師走の忙しいさなかですが、ぜひみなさんいらっしゃってくださいね。お待ちしてますー!



Sonny Smith Acoustic Show presented by 珍屋
12月12日(金)東京・立川 ギャラリー・セプチマ
東京都立川市柏町3-8-2
出演:ソニー・スミス、柴田聡子
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 2,000円
予約:ギャラリー・セプチマ(galleryseptima@gmail.com)、スウィート・ドリームス・プレス(info.sweetdreams@gmail.com)、Monchicon!(monchicon@gmail.com)、珍屋立川2号店(mezurashiya_t2@trad.ocn.ne.jp)、ムーアワークス(moorworks.com/sonny-smith-ticket

12月13日(土)京都 アバンギルド(075-212-1125)
京都府京都市中京区木屋町三条下ル ニュー京都ビル3F
出演:ソニー・スミス、Turntable Films
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 2,500円(予約)/2,800円(当日)*ドリンク代別
予約:会場

12月14日(日)広島 ヲルガン座(082­-295-­1553)
広島県広島市中区十日市町1-4-32
出演:ソニー・スミス、まやかしプラスチック
開場 6:00pm/開演 7:00pm
料金 2,000円(予約)/2,500円(当日)*ドリンク代別
予約:フリップミュージックoki420@gmail.com)、ヲルガン座organzainfo@gmail.com

sone records presents NEW POP #16
12月16日(火)浜松 KIRCHHERR(キルヒヘア)
静岡県浜松市中区田町229-13 カギヤビル地下1階
出演:ソニー・スミス、グレープフルーツフルフラットyamanohiroyuki
DJ:tsun(musica
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 2,000円 *ドリンク代別
予約:sone records

“CON-TEXT” Release Party presented by Monchicon!
12月17日(水)東京・渋谷 7th FLOOR(03-3462-4466)
東京都渋谷区円山町 2-3-7F
出演:ソニー・スミス、夏目知幸シャムキャッツ)、Nohtenkigengo
DJ:松永良平
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 3,000円(前売り)/3,500円(当日)*ドリンク代別
チケット/予約:会場、ローソンチケット(Lコード:72849)、e+、スウィート・ドリームス・プレス(info.sweetdreams@gmail.com)、Monchicon!(monchicon@gmail.com)、ムーアワークス(moorworks.com/sonny-smith-ticket

12月18日(木)松本 Give me little more(080-5117-0059)
長野県松本市中央 3-11-7
出演:ソニー・スミス、チョコレートタウンオーケストラベアーズマーキン
DJ:maita(chez momo
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 2,300円(予約)/2,500円(当日)*ドリンク代別
予約:会場

2014/12/01

Interview with Sonny Smith(前編)


 うちに「Sunset」とロゴが印刷されたTシャツがある。2011年の夏にタラ・ジェイン・オニールと二階堂和美のアメリカ太平洋岸北西部ミニ・ツアーに同行したときに買ったもので、その途上のサンフランシスコで一晩泊めてもらったカイル・フィールド(リトル・ウィングス)の家の近所にあったモラスクっていうサーフ・ショップで買ったものだ。そのモラスクはカイルのアートを使ったTシャツもたくさんつくってるお店で、日本でも人気があるんじゃないかなきっと。とにかく以前取り扱ったことがあるカイル・フィールドのTシャツの風合いとか形がよかったなと覚えてたところ、タイミングよく連れてってくれたわけです。

 で、なんで「Sunset」かというと、その界隈の名前がサンセット地区というらしく(そのときタラは違うところに泊まっていたし、ニカさんとふたり何も知らされないままカイルに車で連れてこられたのでいまだに土地勘がない)、このTシャツのロゴはもともと古い絵葉書にあったものだったらしい。歩いてすぐのところにビーチ(ここにそのときの写真があります)や公園があって(あれゴールデン・ゲート・パークだったのか!)、そんなにお店がたくさんあるようなところじゃなかったけど、モラスクだけじゃなくてジェネラル・ストアっていうセレクト・ショップがあったり、ポツポツと洒落た店が散在する静かでいいところでした、ハイ。

何思う……目をつむるソニー・スミスからにじみ出るもの。

 で、そもそもなんでそんなことを思い出したかというと、ソニー・スミス2012年のスペイン・ツアー、現地のミュージシャンを雇って演奏したときのニュースに「ソニー&ザ・スパニアーズ(スペイン人たち)あらためソニー&ザ・カタラン&ザ・バスク(カタルーニャ人&バスク人)」というような言葉があったのを見て、ソニー&ザ・サンセッツの「サンセッツ」って「日没」を指すそれじゃなくて「サンセット地区住民」のことなのか! と、思ったわけでして。ただそれだけなんだけど、またひとつ彼らのことが身近になった気がしたのでした。

 ちなみに今回のツアー(東京公演の日程はこちら!)はドラマーにカタルーニャ人ドラマーのジョルディ・イリサール(ラ・エストレーリャ・デ・ダビド)が同行した、先述したソニー&ザ・カタランとしてのライブになる模様。組み合わせとしては何となくジョナサン・リッチマン&トミー・ラーキンスを思わせるような……、イヤハヤこれは楽しみダネ!

 というわけで、2〜3年前だったか秘密裏に『Sweet Dreams』第5号をつくり始めていたときに(予想通りその後頓挫……、すみません)、実はソニー・スミスのインタビューをしていたのでした。質問作成をお願いしたのは我らがミズ・アシュビーズ・ブラグメンツこと吉本栄さん。サンフランシスコのこと、ソニー・スミスのアート・プロジェクトのひとつである「100枚のレコード(100 Records)」のことなどを訊いてもらっています。そのときにはまさかソニー・スミスが来日して、そのうちの数公演を手伝うことになるとは夢にも思っていませんでしたが、良い機会ですしお蔵出ししようと思います。

 なお、この決して短くないインタビュー記事は、前編/後編に分け、前編はこのスウィート・ドリームス・プレスのサイトで、後編は日をあらためて今回の東京2公演に協力いただいているMonchicon!のサイトで掲載する予定です。インタビュー原稿はひとつのものですが、提示や補足の仕方や構成方法などはそれぞれで自由にしましょうかということにしていますので、なんとなーくそれぞれのカラーが出ていることと思います。そこもまた楽しんでいただければこれ幸い。それではソニー・スミスのインタビュー、その前編をどうぞ!

『ヒルストリート・ブルース』のテーマ

ソニー・スミスのインタビュー(前編)
Interview with Sonny Smith from Sonny & the Sunsets

質問作成:吉本栄

自分が負け犬であるっていう考えに取り憑かれてたんだね。
いつか一発逆転するっていう感覚が好きなんだ。
センチメンタルな戯言かもしれないけど。

●こんにちわ。ソニー・スミスさん。このメール・インタビューは『Sweet Dreams』という雑誌のためのもので、今回この雑誌は匿名性や架空といった言葉が持つイメージをキーワードにしたストレンジなテーマで作られるのですが、そこでぜひあなたにインタビューさせていただきたいと考えました。どうぞよろしくお願いします。まず、ブレイクダンスも得意でビリー・ジョエルビル・エヴァンス調ピアノ弾き語りも得意だったという子どものころの話を……。夢見がちな子供でしたか?
○僕はテレビ番組のテーマ曲に本当に夢中になってた。そんなとき『チアーズ』『ヒルストリート・ブルース』『Taxi』といった番組を知ってね。こういったドラマは全部僕の父さんが見ていたものなんだ。特に『ヒルストリート・ブルース』はお気に入りの曲だった。父さんと一緒に見てた。僕はとても若くて、小さすぎて番組の内容を理解するまでには至らなかったけど、とにかく曲が好きだったんだよね。

『チアーズ』:原題『Cheers』。ボストンにあるバー「チアーズ」を舞台にしたアメリカのシチュエーション・コメディ番組。1982年から1993年まで、計11シーズンに渡って放送された。
『ヒルストリート・ブルース』:原題『Hill Street Blues』。アメリカの架空の大都市の犯罪多発地区にある警察署を舞台にしたヒューマン・ドラマ。1981年から1987年まで7シーズン全146話が放送された。エミー賞11部門で計26回の受賞歴がある。
『Taxi』:サンシャイン・キャブという架空のタクシー会社の配車センターを舞台にしたアメリカのシチュエーション・コメディ番組。1978年から1982年にABCが、1982年から1983年までNBCが放送した。

●音楽的な才能とライターとしての才能、どちらが先でしたか?
○どちらも一緒に渦を巻いてた。想像譚をでっちあげたり、話を誇張したり、そういうのをいつも話していたからね。と同時に6年生のときにギターをもらって。エディ・ヴァン・ヘイレンよろしくボディにテープを貼ったりして。手づくりでスケボーの雑誌をつくったり、ギターを弾いたりしてたんだ。

エディ・ヴァン・ヘイレンのソロをたっぷりと!

●思春期に強く影響を受けたものはありますか? また、青年期に今のあなたの活動へと導くきっかけになったのはなんでしょう?
○僕はただ、ひとつのものから次のものへと動いていっただけだよ。ブレイクダンス、スケボー、ボディボード、スノーボード、野球、とね。で、同時にニューウェイブ音楽に夢中になる時期があったり。友達のデューイとふたりでトンプソン・ツインズフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドジェネラル・パブリックU2ティアーズ・フォー・フィアーズザ・キュアーを見に行った年があった。全部、同じ一年の間だよ。夢中だった。でも、ニューウェイブの前にはオジー・オズボーンアイアン・メイデンとかラットみたいなバンドが好きだったからね。だから、あるフェイズから次のフェイズに、という感じでね。いつもそうだよ。


上から下へ!


●ひとりで映画館へ行くようになったころに大好きになった作品はありますか?
○『フットルース』は自分にとって影響大だった。ほかに『ナチュラル』『ベスト・キッド』『ロッキー4/炎の友情』『ルーカスの初恋メモリー』もね。これらはすべて救済についての映画なんだ。敗者・弱者の物語でね。最後に勝つのは負け犬なんだ。自分が負け犬であるっていう考えに取り憑かれてたんだね。いつか一発逆転するっていう感覚が好きなんだ。センチメンタルな戯言かもしれないけど、好きなんだよね。

ロックもダンスも禁止された町に都会から転校してきたレン……。

ネブラスカの天才野球児ロイがシカゴへと旅立ち……。

不良グループ「コブラ会」に狙われた転校児ダニエルのカラテ修行……。

●あなたのことを初めて知ったとき、個人的にはジョナサン・リッチマンやマイケル・ハーレーが大好きだったのですが、あなたには彼らとつながる魅力があって一度で忘れられない存在になりました。でも、彼らはイーストコースト出身で、あなたはサンフランシスコの出身ですよね。変な形容で失礼かもしれませんが、ジョン・カサヴェテスとハル・アシュビーが仲良くなってしまうような、ありえない魅力があるように感じたんです。
○いつか、僕も誰かにとってのカサヴェテスみたいな存在になれればいいな。彼は僕のヒーローなんだ。もちろんジョナサン・リッチマンも好きだよ。天才だね。


レディース&ジェントルマン&おとっさん&おっかさん!
それではここでジョナサン・リッチマン&ザ・モダン・ラヴァーズの『New England』をどうぞ!

ジョン・カサヴェテス(John Cassavetes):1929年アメリカ、ニューヨーク生まれの映画監督・俳優。監督として『アメリカの影』『こわれゆく女』『グロリア』などを手がけインディペンデント映画の父として知られる。1989年に59歳で死去。
ハル・アシュビー(Hal Ashby):1929年アメリカ、ユタ州生まれの映画監督。監督としての代表作に『ハロルドとモード』『さらば冬のかもめ』『シャンプー』などがある。1988年、ジョン・カサヴェテスと同じく59歳で死去。
ジョナサン・リッチマン(Jonathan Richman):1951年、アメリカ、マサチューセッツ州生まれのシンガー・ソングライター 。1970年にザ・モダン・ラヴァーズ結成、1989年のバンド解散後もソロ・アーティストとしてコンスタントに活動している。
マイケル・ハーレー(Michael Hurley):1941年、アメリカ、ペンシルヴァニア州生まれのシンガー・ソングライター。60年代、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジを舞台にしたヒップなフォーク・シーンの重要人物のひとり、現在も活動を続けている。

17歳のころ、ローマ空港で『禅ヒッピー』を万引きしたこともあるしね。
3年間ぐらい、ジャック・ケルアックになりたかった時期があったんだ。

●また、あなたは中南米やヨーロッパなどぶらりと旅してまわった経験もありますね。サンフランシスコのボヘミアン気質が、自分の中に宿っていると感じますか?
○ああ、僕の父さんはリチャード・ブローティガン、ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ローレンス・ファーリンゲッティ、そういったビートの連中が大好きだったからね。彼らの本を父はたくさん持っていて、若いとき、それらは自分にとってロマンティックなものだった。16歳とか、そのぐらいのころだね。うちの両親が初めて出会ったのも、サマー・オブ・ラブの時期、ゴールデン・ゲート・パークでのベトナム反戦集会でのことだったらしいし、僕は立派なサンフランシスコの子どもと言えるんじゃないかな。両親の友達もアーティストとかビート風の人が多かった。もしくはカントリー・ミュージシャンとか。17歳のころ、ローマ空港で『禅ヒッピー』を万引きしたこともあるしね。3年間ぐらい、ジャック・ケルアックになりたかった時期があったんだ。はしかみたいなもんだけどさ。

我らがプレスポップから発売された
我らが導士アレン・ギンズバーグのかわいいフィギュアとCDのボックスセットはこちら

リチャード・ブローティガン(Richard Brautigan):1935年、アメリカ、ワシントン州タコマ生まれの作家・詩人。代表作『アメリカの鱒釣り』でビート・ジェネレーションを代表する作家のひとりとなった。1984年に死亡。
ジャック・ケルアック(Jack Kerouac):1922年、アメリカ、マサチューセッツ州ローウェル出身の作家・詩人。代表作『路上』と共に、ビートの王として熱狂的な信望者を生んでいる。なお『禅ヒッピー』は彼の1957年の小説。1969年に死去。
アレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg):1926年、アメリカ、ニュージャージー州生まれの詩人。詩集『「吠える」その他の詩篇』で、ケルアックらと共にビート文学を代表する作家となる。1997年に死去。
ローレンス・ファーリンゲッティ(Lawrence Ferlinghetti):1919年、アメリカ、ニューヨーク州生まれの詩人。1951年、渡仏後に移り住んだサンフランシスコでシティ・ライツ書店を開業、以降、出版業も並行して行なっている。

●あなたのサイトの「Writing」のセクションに掲載されている旅行中の話がとても素敵でした。浮遊するアメリカ人としてのアイデンティティーやアイロニー、ストレンジャーとしての観察眼に溢れていて、でも、そこには孤独であることが伴うと思いますが、あなたにとって孤独とは?
○孤独も旅の一部だね。今この瞬間だって僕は孤独だ。ツアーが終わって空港からのバスに乗ってるところでね。とても孤独だよ。死にたいぐらい。友達がいるバーでも行こうかな。女性のバーテンダーなんだ。お店に入って彼女を妻にしたい。でも彼女は既婚者なんだよね。という風に、僕は今この瞬間とっても孤独なんだ。

●ちなみに、バスや地下鉄、飛行機、あなたの好きな交通手段は?
○車を運転することかな。

●アルバム『Longtime Companion』の中の1曲「Children of the Beehive」が 清水宏監督の映画からとられたものだということや、あなたが小津安二郎映画が大好きだと知ってすごくコーフンしたのですが、しかもフェイバリットに『生まれてはみたけれど』を挙げていましたね。この映画の正式なタイトルは『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』なんです。『大人の見る繪本』とは、まさにあなたにも相応しい言葉だと思いますが、あなたが小津映画の名作といわれる『東京物語』ではなく『大人の見る繪本 生まれてはみたけれど』を挙げていることが、とてもあなたらしいと嬉しく思いました。あなたが小津映画を好きな理由を語っていただけますか?
○「大人の見る繪本」だなんてアメイジングな副題だね。小津安二郎は僕のフェイバリットのひとりなんだ。なぜかというと彼はとても忍耐強くて、私的な映画作家だから。小津映画のスチール写真を集めた本を持ってたんだけど、どのページもマスターピースと呼べるような写真だった。スチール写真ですらそうなんだよ! 彼は達人だね。このふたりはどちらも詩的で、すべてのシーンに静止の感覚がある。退屈に思う人もいるかもしれないけど、とても実直で美しいんだ。

清水宏監督『蜂の巣の子どもたち』より





●以前『San Francisco Bay Guardian』のインタビュー(こちら)でコラボレーションしてみたいと挙げていたウエス・アンダーソンやノア・バームバックもそうですが、子供目線で大人社会の悲喜劇を描いたもので、他にあなたが大好きな映画があれば、古今問わずいくつかあげてみてもらえますか?
○ベストは『スタンド・バイ・ミー』だね。大好きな映画はほかにもあるけど、『スタンド・バイ・ミー』がお気に入りだ。

ウエス・アンダーソン(Wesley Anderson):1969年、アメリカ、テキサス州ヒューストン生まれの映画監督・脚本家。主な作品に『天才マックスの世界』『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ダージリン急行』『ファンタスティック Mr.Fox』など。
ノア・バームバック(Noah Baumbach):1969年、アメリカ、ニューヨーク生まれの映画監督・脚本家。主な作品に『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』『フランシス・ハ』など。ウエス・アンダーソンの『ファンタスティック Mr.Fox』の脚本も担当している。


最後に『スタンド・バイ・ミー』から。

 さてさて、ソニー・スミスのインタビュー、この後、今回の東京公演にご協力いただいている「Monchicon!」に場所を変えて後編に続きます。こちらからどうぞ。